UXデザイン

 


―― ユーザー体験を軸に設計を再構築する思考法 ――



【基礎知識|UXデザインとは何か】


UX(User Experience)デザインとは、製品やサービスを通じて得られる“体験全体”を設計するアプローチです。


UIや機能といった部分にとどまらず、ユーザーの感情、思考、行動の連続を設計対象とします。


たとえば、検索しやすさ、安心感、直感的な理解など──「どう感じたか」がUXの中心です。


この考え方は、インテグレーテッドデザインの中核にもなり、接点・体験・構造をつなぐハブとして機能します。



【構成方法|5つの視点からUXを設計する】


UXは一面的ではなく、以下の複数要素が連動します。



  • 体験シナリオ設計: 利用シーンを時系列で捉え、流れの中で設計する。

  • 感情設計: ユーザーの不安や期待、達成感に寄り添う設計。

  • 行動誘導設計: 無理なく次の行動に進める導線を構成する。

  • 文脈理解設計: 環境や前提条件に応じた最適な情報提示を行う。

  • フィードバック設計: 操作後の応答や結果表示により安心感を生む。


これらを通じて、“体験全体が心地よくなる”ことがUXデザインのゴールです。



【設計手順|共感→抽出→設計→検証の流れ】


UXデザインには、以下のような段階的な設計プロセスがあります。



  1. 共感(Empathize): ユーザーの悩みや価値観を深く観察・ヒアリングする

  2. 問題抽出(Define): 本質的な課題を定義し、取り組む方向性を定める

  3. アイデア発想(Ideate): 新しいアプローチを多角的に発想する

  4. 試作(Prototype): 概念を具体化し、実際の操作や印象を検証可能にする

  5. 検証(Test): 実際のユーザーに使ってもらい、反応・改善点を分析する


このプロセスは人間中心設計(HCD)に基づく標準的な手法です。




【設計技術やノウハウ|具体的な設計項目と知見】


UXデザインは“感覚的なもの”と誤解されがちですが、実際は多くの具体的技術と知見の集合です。以下に代表的な設計項目を示します。



  • タスクフロー分析: 目的達成に必要な手順を整理し、迷いや負荷を減らす流れを設計します。

  • ペルソナ設計: 典型的なユーザー像を設定し、その人にとって自然な体験を模索します。

  • ジャーニーマップ作成: 時系列でユーザー体験を描き、感情の変化や課題点を可視化します。

  • フィードバックループ設計: 操作後の応答(通知、アニメーション、音など)を設け、安心・理解を促します。

  • 情報設計と視線誘導: 優先順位を視覚的に明確化し、情報過多による混乱を防ぎます。

  • 身体感覚に基づくUI設計: タッチ位置や操作距離、ジェスチャー認識など、直感的な操作性を支える設計。


これらを“感覚ではなく構造的に”積み上げることが、本当の意味でのUX設計です。



  • 高齢者施設の操作系UI改善と空間UX再構成

  • 教育機関におけるデジタル教材のUX設計と動線最適化
  • 【例:UX設計を中心とした以下の支援等が可能】



    • 高齢者施設の操作系UI改善と空間UX再構成

    • 教育機関におけるデジタル教材のUX設計と動線最適化

    • 展示会ブースにおける回遊導線と感情導入設計

    • 地域イベントのUX視点での導線設計と滞在価値向上

    • 企業プロダクトのペルソナ設計とジャーニーマップ設計支援


    【共創アイデア|UXはあらゆる領域の起点となる】


    UXデザインはデジタル分野だけでなく、空間設計、プロダクト設計、教育、医療、行政など、あらゆる設計に適用できます。



    • 医療現場の不安軽減を導く体験導線の設計

    • 自治体Webサイトの住民向けUI/UX再設計

    • 教育施設の通学・学習・交流体験の最適化

    • 駅構内の案内システムのUX再設計(→案内矢印の小話と連動)

    • プロダクト開封体験の感情誘導設計


    UXデザインは“個別最適の枠”を超え、体験全体をつなぎ直す手段となります。


    【小話|展示会ブースで立ち止まらせる仕掛け】


    ある企業の展示会ブースの改善相談を受けた時のこと。課題は「人が通り過ぎてしまう」というものでした。プロダクトは優れているのに、立ち止まってもらえない。


    私たちは、まず会場を歩きました。導線、照明、音、視線の流れ……そして気づきました。問題は「魅力が伝わっていない」のではなく、「体験が始まっていない」ことでした。


    そのブースは“視覚情報”ばかりで、ユーザーの体験を想像する余白がなかったのです。そこで私たちは、「導入のきっかけ」を設計しました。


    入り口付近に“問いかける”展示物を配置し、視線を捕まえ、手を動かす仕掛けを入れました。スタッフの動きや声かけのタイミングも設計に含め、空間全体を「体験の始まり」に変えました。


    結果、多くの来場者が足を止め、滞在時間が約2.4倍に増加。名刺交換数も従来比で1.7倍に伸びました。「製品が良い」は前提として、“体験が始まる場”であることが鍵なのです。





【小話2|病院の受付での不安を減らす導線設計】


ある地方病院のUX改善支援で、課題として挙がったのは「初診受付の混乱」でした。


受付カウンターが複数あり、案内表示も多いものの、高齢者が「どこへ行けばいいか分からない」と迷ってしまう。


私たちは、受付までの導線に着目しました。


「立ち止まって見上げる」ことを前提にした案内から、「歩きながら自然と目に入る」床面誘導と色分けへ。


また、待ち時間がわかる表示と安心感のある声掛けを設計し、\"受付という行為の不安\"を減らす仕組みを追加しました。


結果として、受付エリアの混乱はほぼ解消。「分かりやすくなった」との声が多数寄せられ、再来患者の案内もスムーズになりました。


UXは目に見えない“不安の正体”を見つける設計なのです。



【小話3|教育現場での“迷わない教室”設計】


ある学習塾の新拠点設計にて、「初めて来た子どもが迷う」「緊張して質問できない」といった声が保護者から上がっていました。


教室レイアウトは整然としていて、受付も正面、掲示も充実──それでも“居心地が悪い”と感じる理由。


私たちは、子ども目線で再観察しました。入口からの視界、掲示の高さ、音の反響、先生と話せる位置関係。


その結果、廊下に「今日のクイズ」コーナーを置き、入室前に手を動かせるスペースを設計。


さらに、靴を脱ぐ・荷物を置くといった“初動”の流れに余白と案内を付けることで、心の準備時間を確保しました。


開校後、入塾希望者の継続率が上がり、保護者から「安心できる空間」と評価されました。


UXは“心理的な入り口”を設計する技術でもあるのです。


【Primal Design.Laboができること】


私たちPrimal Design.Labo合同会社は、UXを核としたインテグレーテッドデザインの実践において、空間・デジタル・プロダクトを横断する設計支援を行っています。


PoC、展示体験、教育導線、行政サービス導線など、現場に即したUXの実装に強みがあります。


部分最適にとどまらず、体験の全体性を再構成し、“記憶に残る体験”をデザインします。


プロジェクトの企画段階からでも、試作・検証フェーズでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。



他にも:



  • ■ UX設計+UI/空間デザインの統合設計

  • ■ デジタル教材・展示・案内システム等のUX改善

  • ■ 高齢者向け、教育現場、公共空間向けの導線最適化

  • ■ タッチポイントの構造設計と感情誘導設計



【ご連絡・ご相談について】


ご関心のある方は、ぜひお問い合わせください。


事業の詳細・構想段階の仕様については、守秘義務契約のもと個別にご説明可能です。


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