― 感性と機能を両立する計画手法 ―
【はじめに|構成には意図が宿る】
空間は、ただ感覚的に「良い」と思えるだけでなく、
その背後に明確な「意図」や「計画」があることで、
初めて人に深く届く場となります。
どこに何を配置し、何がどのように見え、
どのように響くか。その一つひとつが
感性と機能をつなぎ、空間に意味を与えます。
この章では、そうした意味ある構成を形にするための
具体的な設計技法や手順を紹介します。
【1|ゾーニングと機能配置】
空間づくりの出発点は「ゾーニング」です。
ゾーニングとは、使い方に応じて空間を
いくつかのエリアに分けること。
住居なら「食べる/くつろぐ/眠る」、
店舗なら「入店/選ぶ/支払う」など、
行動や目的ごとに機能を整理します。
配置はそれぞれのゾーンが
どうつながるかによっても変化します。
・人の流れを滞らせない導線設計
・目線を意識した順路の構成
・一人と複数人の滞在エリアの分離
ゾーニングは“分ける”というより
“関係性を設計する”ことでもあります。
【2|素材選定と質感演出】
素材の選び方は、空間の雰囲気を決定づけます。
見た目の色や模様だけでなく、
・手に触れたときの温度
・歩いたときの足ざわり
・音の響き方
など、素材は五感全体に影響を与えます。
たとえば、同じ木材でも、
マットな質感と光沢のある質感では、
感じ方に大きな差が生まれます。
また、異素材の組み合わせも効果的です。
・硬さと柔らかさの対比
・自然素材と工業素材の融合
・経年変化する素材と変化しない素材の対照
素材は情報であり、印象であり、記憶です。
その選定と演出が空間の奥行きを決めます。
【3|光・陰影・照明計画】
光の設計は、空間に「時間」と「印象」を与えます。
●自然光の取り込み方 ・開口部の大きさと位置
・時間帯による光の質の違い ・季節による太陽高度の調整
●人工照明の活用方法 ・演出照明と作業照明の使い分け
・色温度(暖色/中性/寒色)の効果
・光の拡散と集中を設計する器具選定
●陰影を操作するという考え方
・直接照明だけでなく間接照明を多用する
・物体や壁面に落ちる影が印象をつくる
・光源の見せ方や隠し方で印象を制御
光は単なる「明るさ」ではなく、
空間の性格そのものを決める要素です。
【4|音環境と音響設計】
音もまた、空間の居心地に関わる重要な要素です。
●音が与える心理的印象 ・静けさ=集中や安心
・反響=活気や広がり ・雑音=ストレスや不快感
●設計で音を整える方法
・吸音性のある素材や壁面の活用
・天井形状や床材による音の分散
・機械音の遮蔽や選択的マスキング
●施設用途別の音環境
・図書館や診療所など静寂が求められる空間
・カフェやギャラリーなど適度なざわめきを演出
・ホテルロビーや公共施設では心理的安心感を重視
音の扱いは、意匠と設備の中間領域。
だからこそ、意図をもった設計が大切です。
【5|サステナブル空間設計】
意味ある空間とは「持続可能な空間」でもあります。
●パッシブデザインの活用
・通風、採光、断熱の自然的工夫
・夏と冬で開口部の役割を変える工夫
・素材そのものが熱を持つ特性の活用
●再生可能素材とローカルマテリアル
・地域産の木材や土、藁を活かした設計
・CO2排出を抑えた生産プロセス素材の採用
・リサイクル材やアップサイクル素材の選定
●運用後も続く空間の価値
・維持管理しやすい設計や素材選び
・経年変化を楽しめる素材構成
・将来の用途変更を想定した柔軟な構造
サステナブルとは「今ある美しさを、
未来にも残せるようにする設計」でもあります。
【まとめ|感性と機能の間をつなぐ】
空間設計は、「なんとなく美しい」だけでは
人に長く受け入れられることはありません。
機能を計算し、感覚を言語化し、
光や音や素材の選択に意図をもつことで、
空間は“意味ある構成”となります。
感性と機能、その両方を大切にする設計技法こそ、
これからの空間づくりに不可欠な視点です。
【小話|商業施設の待合エリアに見る工夫】
ある駅直結の商業施設では、
エントランス横に小さなベンチが並んでいます。
背後には木の壁、上部には間接照明、
足元には吸音材が仕込まれたマットな床。
短時間の利用を想定しながらも、
安心して腰掛けられる構成になっています。
これはまさに、「素材」「光」「音」「機能配置」が
計画的に設計された例です。
長居を促さず、でも不快には感じさせない──
そんな絶妙なバランスは、
意味ある構成の積み重ねによって生まれます。
【空間設計に“意図”を宿すために】
私たちPrimal Design.Laboは、
感性と構造、印象と機能のあいだを丁寧に読み解き、
言語化と可視化を重ねながら、
空間に「伝わる意味」を宿すデザインを行っています。
素材・光・音・導線──それぞれが持つ力を引き出し、
空間の価値と体験をともにつくる伴走者として、
企画から設計、製作まで一貫して対応しています。
もし本記事が空間づくりの視点やヒントとなり、
実際のご相談やご依頼のきっかけになれば幸いです。
お気軽にお問い合わせください。
空間設計は、「なんとなく美しい」だけでは
人に長く受け入れられることはありません。
機能を計算し、感覚を言語化し、
光や音や素材の選択に意図をもつことで、
空間は“意味ある構成”となります。
感性と機能、その両方を大切にする設計技法こそ、
これからの空間づくりに不可欠な視点です。
【Primal Design.Labo合同会社ができること】
■ 装置開発、プロダクトデザイン含め、
外注開発・OEM・ODMも対応可能です。
仕様・設計から一式開発も可能です。
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