開発委託を成功させる比較ガイド
製造を外部に委託する際、OEM(製造委託)とODM(開発含む委託)のどちらが自社に合うかを見極めることは重要です。
本記事では、契約形態・設計責任・支払い構造の違いを実例とともにわかりやすく解説します。
■OEMとODMとは|基本定義
- OEM(Original Equipment Manufacturer):発注者が設計・仕様を決め、製造のみを委託。
- ODM(Original Design Manufacturer):設計から製造まで一括委託。
設計体制がない企業はODM、設計力がある企業はOEMが適しています。
■東京都内にみる使い分けの実情
都内のベンチャー企業や中小製造業では、設計担当が不在なことが多く、ODMの活用が進んでいます。
事例:水耕栽培IoTキットを構想した企業が、電子設計や筐体設計をODM企業に委託し、自社は販売とブランド構築に集中。短期間で市場投入に成功しました。
一方、大手メーカーはOEMでの量産委託が一般的で、厳格な設計主導と品質管理を維持しています。
■OEMとODMの違い|段落形式で比較
契約時点の違い
OEM:製品仕様が発注時に確定している前提。スムーズな量産移行が可能。
ODM:仕様未確定でも契約可能。要件定義や相談フェーズからスタートできます。
設計・仕様相談の扱い
OEM:無償相談が主流。設計責任は発注側。責任所在が曖昧になりがち。
ODM:契約後に有償設計。責任分担が明文化され、成果物の明確化が可能。
支払い構造の違い
OEM:製品納品後に一括または分割支払い。
ODM:設計段階で前払い+製造契約時に製作費を支払う二段階方式。
納期と契約形態
OEM:納期が契約時に明記される。1契約で完結。
ODM:設計完了後に製造契約。納期調整が柔軟。新製品開発向き。
それぞれのメリットとデメリット
OEM:契約は簡潔だが、無償相談が増え責任が不明確になる可能性。
ODM:柔軟な相談と費用明確化が可能。ただし契約が二段階になり事務負担増。
■OEMとODMの違い|比較早見表
項目 | OEM | ODM |
---|
設計責任 | 発注元 | ODM側 |
知的財産 | 発注元 | ODM側または共有 |
ブランド名 | 発注元 | 発注元 |
主な役割 | 製造のみ | 設計+製造 |
開発リードタイム | 長め | 短縮可能 |
費用負担 | 発注元が主 | ODMが一部負担 |
■実例で理解するOEMとODM
- OEM例:Apple社が設計したiPhoneを、Foxconnが製造(OEM)。
- ODM例:中国メーカーが設計したテレビを国内ブランドが仕入れ、自社名で販売(ODM)。
採用判断は「設計力・リソース・市場スピード・リスク分担」のバランスに依存します。
■OEM・ODM以外の委託モデル用語解説
- EMS:電子機器製造専門の受託企業。
- JDM:発注元と受託企業が共同で設計。
- CM:総合製造請負(電子以外も含む)。
- OBM:自社ブランドでの製造・販売モデル。
目的や社内体制に応じて、最適なスキームを選ぶことが成功の鍵です。
■商社・販売店が前払い代行するケース
ODMでは、設計段階の前払いが必要なため、商社や販売代理店が支払いを代行するスキームが有効です。
例:販路企業が設計費を立て替える代わりに、完成品の販売権を得る。
三者間(発注者・製造者・商社)で初期リスクを分担し、成功可能性を高める方法です。
■ODM活用時の二段階契約スキーム
- Step1:開発委託契約
設計・PoCを対象に開発費を前払い。設計・図面・試作を進行。
- Step2:製造委託契約
仕様確定後に製造契約を締結。製作費支払い+納期明記。
初期費用と製造費を切り分けることで、柔軟な検証と事業判断が可能です。
■小話:ベンチャーがODMを活用すべき理由
製品の構想はあるが設計力がない──そんなスタートアップこそODM活用が最適です。
製造ノウハウをもつパートナーと組むことで、アイデアを短期間でカタチにし、市場投入までのスピードを加速できます。
■OEM・ODM相談はPrimal Design.Laboへ
Primal Design.Laboでは、中小企業・スタートアップ向けにOEM/ODMを活用した製品開発支援を行っています。
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