DXの課題

 


なぜ従来のDXでは、設計と判断が止まってしまうのか
― RPA・業務自動化・AI導入の限界を整理する ―



DX(デジタルトランスフォーメーション)は、決して「失敗だった」と言い切れるものではありません。

しかし現場では、「途中で止まってしまった」「思ったほど業務に定着しなかった」という声も少なくありません。

本記事では、RPA・業務自動化・一般的なAI・生成AIといった従来DXの流れを踏まえ、なぜ設計や判断の領域で詰まりやすいのかを、原因から整理します。



この記事でわかること

・従来DX(RPA/業務自動化/AI)が得意だったこと・苦手だったこと

・生成AIが入っても解決しきれなかった理由

・DXがPoC止まりになる典型パターン

・「構築AI」という考え方が必要になる背景




はじめに:DXは失敗したのか?



DXは、確かに現場に成果をもたらしました。

例えば、RPAや業務自動化で「作業スピードが上がった」「人手不足を一定程度カバーできた」「以前よりデータが集まるようになった」など、手応えを感じた企業も多いはずです。



それでも多くの現場で、DXが「途中で止まってしまった」感覚が残るのはなぜか。

ここで重要なのは、原因が「技術の不足」ではなく、判断を扱うための設計不足にあるケースが多い、という点です。






まず、DXは本来なにを目指すものか(定義の見直し)



DXは「ITを入れて効率化すること」ではなく、

データとデジタル技術を活用して、事業や業務、組織のあり方そのものを変革し、

競争優位(価値提供)を作り直す取り組みだと整理されています。

(※出典:経産省のDX推進ガイドライン/DXレポート等の定義を参照)



この定義に照らすと、従来のDX(RPA・自動化・個別AI導入)が途中で止まりやすい理由が見えてきます。

多くの場合、成果は「処理速度」や「工数削減」には出ても、判断の仕組み(前提・理由・責任)が変わらないまま残るためです。


従来DXで見落とされがちな不足点



・判断の前提(法規・規格・数値条件)が、誰でも辿れる形で残っていない

・例外や想定外が出たときに、止まらず更新できる仕組みがない

・「なぜそう判断したか」を監査・顧客・社内に説明できない

・結果だけが残り、判断過程が資産にならない(属人化が続く)


DXチェックポイント(ここを満たせるか)



1)結果だけでなく、判断の前提・理由が残るか

2)法規・規格・制約条件を、運用で扱える形にできるか

3)想定外が出ても、止まらず「条件」として取り込めるか

4)担当者が変わっても、同じ品質で判断できるか(標準化できるか)

5)説明責任(顧客・監査・社内決裁)に耐えられるか



このチェックポイントを満たすために、

「自動化や生成の前に、判断の前提・理由を構造として整える」

――それが構築AIの役割です。


従来DXが得意だったこと・苦手だったこと


得意だったこと



従来のDXが強かったのは、主に次の領域です。

・定型作業の自動化

・既存業務の高速化・省人化

・大量データの処理・集計

・結果や数値のアウトプット



RPAや業務自動化は、「決まった手順を、速く・正確にこなす」点で非常に有効でした。

ただし、この強みは裏を返すと、手順が決まっていない領域に弱いという意味でもあります。


苦手だったこと



一方で、次のような領域は苦手なままでした。

・判断の前提条件が整理されていない業務

・例外が多く、条件分岐が複雑な業務

・法規・規格・制約条件が絡む設計判断

・「なぜそう判断したか」を説明する必要がある業務



これらは、人が状況を読み取り、条件を照合し、経験則を使いながら進めてきた領域です。

つまり従来DXの限界は、「自動化できない」ことそのものではなく、判断の前提が整理されないまま自動化へ進んでしまう点にあります。




問題の本質は「判断が構造化されていない」こと



多くのDXプロジェクトでは、次の問いに注力してきました。

・どんなデータを集めるか

・どう自動化するか

・どこまでAIに任せるか



しかし、本来はその前段階として、次の整理が必要です。

・どんな前提で判断しているのか

・何が制約条件になっているのか

・どこが人の判断ポイントなのか



ここが整理されないまま進むと、判断理由が人の頭の中に残り、引き継ぎや説明ができず、想定外が出た瞬間に止まります。

そして現場には、「結局、人が見ないと回らない」「戻すしかない」という感覚が残ります。




生成AIが入っても解決しなかった理由



近年、生成AIは文章作成、要約、アイデア出しなどで大きな効果を発揮しています。

ただし、設計や業務判断の現場では次の壁にぶつかりやすくなります。



・法規・規格に本当に合っているのか分からない

・数値や条件の裏付けが取れない

・なぜその結論なのか説明できない



生成AIは、確率的にもっともらしい答えを出すことは得意です。

一方で、法規・規格・数値条件・業務ルールなど、確定した前提を保証することは目的としていません。

そのため、説明責任が求められる業務では「使い切れない」という現実が見えてきました。




従来DXが止まる典型パターン



多くの現場で、次のような流れが起きます。

1)PoCではうまく動く

2)本番業務に入ると例外が増える

3)判断理由が説明できず、人が介入する

4)結局、元のやり方に戻る



これは「DXが未熟だから」ではなく、判断を扱う設計がされていなかったことが原因です。

例外対応や監査・説明が必要になった瞬間に、仕組みの弱点が表面化します。




だから「構築AI」という考え方が必要になる



構築AI(Construction AI)は、自動化や生成の前に、次の点に焦点を当てます。

・判断の前提を分解・整理する

・法規・数値・制約条件を明示する

・判断理由を構造として残す



その上で、人が判断し、必要に応じて自動化や生成につなげていきます。

つまり、従来DXの否定ではなく、土台を作り直す発想です。

RPAや生成AIと競合するものではなく、むしろ「活かすための基盤」として位置づけることができます。




「3分でわかる構築AI」との関係



「3分でわかる構築AI」は、概念と全体像を掴むための要約です。

本記事は、なぜ従来DXでは足りなかったのかを理解するための本文として位置づけています。

はじめての方は、要約→本文の順で読むと、理解が早くなります。



▶ 3分でわかる構築AI(要約)はこちら




次の記事につながる導線



このあと、次のページを読むことで「自社に関係があるか」「今相談すべき段階か」を判断しやすくなります。

・どんな会社・業務に向いているか(適用領域)

・今は何ができて、何が開発中か(期待値調整)



ここまでのまとめ

・従来DXは作業には強かった

・判断と説明を扱う設計が不足していた

・生成AIでもその壁は越えられなかった

・だから構築AIという考え方が必要になる




ご相談について



構築AIが自社に合うかどうか、現時点で明確でなくても問題ありません。

DX検討中、過去の失敗整理、情報収集段階など、まずは情報交換レベルでご相談ください。


商品コード: